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いつの間にかパンツにシワが
みなさんは、”シワ”にどのようなイメージを持っているでしょうか。
よく、男性は働き盛りの40代が1番モテると言います(本当かどうかは知りません)。顔に刻まれたシワがその人の人生経験を現し、知性や頼りがい、男らしい雰囲気などを醸し出すのだそうです。
では、豊富な人生経験を感じさせ、素敵に見える男性のシワが、顔ではなくスーツに刻まれていたらどう思われるでしょうか。
言うまでもなく、女性からの印象は悪くなり、仕事関係者からもだらしない人だと思われます。スーツにシワがあることで、素敵な男性がだらしないおじさんになってしまうわけです。
もちろん、スーツにシワができる原因はあります。そして、シワを防ぐ方法も、なるべく目立たなくする方法もあります。
たとえば、仕事が内勤の場合は、なるべくジャケットをハンガーにかけるようにすればシワ予防になります。シャツは、腕まくりをしない、タックインしたシャツがパンツから出ないように注意するなどでシワが目立つことはありません。
ところが、パンツのサイドや膝裏、太もも裏には、いつの間にかシワができています。家に帰ったときにようやく気付いて、「あ、大事な商談でこんなシワシワのパンツ履いてた……。」という経験をした人もいるでしょう。
パンツにいつの間にかシワができてしまうのは、なぜでしょうか。なんとかシワを防ぐ方法はないのでしょうか。
シワができる原因
生地にシワができる原因は、簡単に言うと生地が形を変えたときに、繊維に癖が付いてしまうためです。
たとえば紙を折ると、紙の繊維が折れたり、切れたりすることで復元できなくなり、折り目が残ります。対して、服に使われる繊維の多くは柔らかく復元力があるため、繊維の形が変わっても徐々に元に戻ろうとします。
ただし、繊維が持つ復元力を越えてしまうと、柔らかい生地でも強いシワとして残ってしまいます。
原因1.繊維の種類
繊維は乾燥した状態だと、同じ形を維持しようとする性質があります。つまり、生地にシワがよった状態が長時間続くと、その形を維持しようとするためシワができてしまいます。ただ、すべての生地に同じようにシワが付くわけではありません。
ポリエステルなどを使った合成繊維はもっともシワがつきにくく、次いでウールなども繊維に復元力があります。対して、コットンやリネンなどの植物性繊維やレーヨンなどの再生繊維は復元力が弱いため、シワがつきやすい種類の生地です。
原因2.編物・織物の種類
生地には、編物と織物があります。編物の代表的な衣服はセーターなど、織物の代表的な衣服はシャツなどです。シワが付きやすいのはシャツなどの織物の方ですね。
編物 織物
編物は、糸で作ったループが連結してできており、隙間が多いため糸が自由に動きやすく伸縮性があります。対して織物は、たて糸とよこ糸が交差して隙間が少なく織り込まれているため、糸が寄ったときなどに組織に摩擦が生じて元に戻りにくくなります。
原因3.圧力・熱・水分
繊維の種類や編物・織物の種類でシワのできやすさは変わりますが、仮にシワができにくいポリエステルの編物だとしても、復元力を超える力が加わるとシワになります。
復元力を超える力とは、繊維に対する”圧力”ですが、さらに”熱”や”水分”が加わることで繊維がほつれ、ほつれで摩擦が生じてよりシワができやすい状態になります。
つまり、衣服のシワを作りたくない場合は、どのような服を着ていてもなるべく熱や水分がない状況で、圧力がかからないように衣服を着なければいけないということです。
ウールとポリエステルのシワの特徴
わたしたちが仕事で着るビジネススーツの素材は、ウール100%、またはウールとポリエステル混合がほとんどです(シルク混やポリエステル100%もある)。
そのため、繊維の種類としてはどちらもシワが付きにくい部類ですが、織物のためシワが付くと残りやすいと言えます。
1.ウールのシワの特徴
ウールは吸湿性・保湿性が高いため、湿気が多いほど繊維が膨張します。膨張した状態で圧力がかかると、水分が抜ける過程でシワができてしまいます。
そのため、とくに湿気が多い夏場はシワになりやすいのですが、シワが取れやすい素材でもあるため、何度もアイロンがけをしなくても、こまめにハンガーに吊るしておくだけで自重で繊維が復元し、比較的簡単にシワをとることができます。
2.ポリエステルのシワの特徴
一方、ポリエステルは吸湿性・保湿性が低いため、繊維自体が変形しにくく、着用シワが付きにくい素材です。
ただし、それはポリエステル100%の場合。ウール混のポリエステル生地は、ウール同様シワができやすいため気をつけなければいけません。
また、ポリエステルは1度シワが付いてしまうと、ウールに比べてシワが残りやすいため、しっかり当て布をしてアイロンがけをする必要があります。
パンツのサイド、膝裏のシワの原因
さて、冒頭でお話したパンツに付くシワの原因ですが、そのほとんどが座ったときにできるシワです。
パンツを履いたまま座ると、パンツのサイドの生地はたるみ、膝裏は生地がヒダ状に寄り、太もも裏は押しつぶされます。そのため、座りジワは避けることができません。
出典|holy bones
とくに汗をかきやすい人は、湿気で膨張した繊維がほつれやすく、ほつれた繊維が体温を持った身体に押しつぶされるため、余計にシワが残りやすくなります。座りシワはデスクワークだけでなく、車の運転や電車での移動、または客先訪問でも想定されます。
もちろん、座るとパンツにシワができるだけでなく、膝を曲げることで前膝の生地が伸びるため、センタークリースも膝を中心に徐々になくなっていきます。
参考|パンツのセンタープレス(クリース)は必要?折り目が消える理由は?
パンツがシワにならない座り方は
では、パンツがシワにならないように座る方法はあるのでしょうか。前述した内容を踏まえて、なるべくシワを作らないためには、以下のように座らなければいけません。
- 座ったときに脚を組まない
- 膝をなるべく曲げずに座る
- できるだけ浅く腰掛ける
- 長時間座らない
- こまめに立ち上がってパンツを延ばす
- 汗ばんでいるときには座らない
なるべく高めの椅子を選んだうえで、上記を実践することにより、多少はシワが付きにくい座り方をすることができます。
ただし、実践してみるとわかりますが、この座り方はデスクワークなど長時間の座り作業をすることには向いてません。そして、微妙にカッコを付けた雰囲気、偉そうな雰囲気に見えるかもしれません。
こちらのコービー・ブライアント(元NBAのスーパースター)のような座り方のイメージですね。
出典|Kobe Bryant Finishes a Great Year by Modeling for GQ Magazine | UpscaleHype
さあ、どうでしょうか。このようにシワにならないように座る機会がどれくらいあるのか……。自然に座って作業をすることが難しいなら、パンツがシワにならない座り方の実践は難しそうです。
シワがつかないように、すべての行動に気を使って1日過ごすよりも、シワが付いたらすぐにシワを伸ばすためのケア、1日の終りのブラッシングなどをする方が楽だと思いますよ。