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シャツの腕まくりはマナー違反?
夏の暑い日、汗をかきながら外回りをするサラリーマンたち……近年は気温35℃以上の猛暑日も多いため、「ノーネクタイ・ノージャケット」のクールビズで仕事をする姿もすっかり定着しました。
また、半袖シャツを着たサラリーマン風の人たちも多く見かけます。もちろん、長袖シャツで腕まくりをしている人もいます。ここで、
「ビジネスシーンでノーネクタイ・ノージャケットはマナー違反だ!」
「仕事中に半袖シャツを着たり、シャツの袖をまくるなんて失礼過ぎる!」
と主張する人もいますが、必ずしもスーツはビジネスシーンに特化した服ではありません。まずスーツ自体に格式があり、格式があるから大切な仕事にもスーツを着るという流れです。そのため服装に社内規定があるなら、そちらを守る方が大切です。
クールビズは「スーツを着崩すスタイル」ではなく、「涼し気なビジネススタイル」です。たとえば半袖シャツを着るなら、袖をカットしたワイシャツではなく、スマートなカジュアルシャツを活用するなどが良いでしょう。
参考|ビジネスで半袖ワイシャツはダサい?クールビズのおすすめシャツは
では、社内規定で半袖シャツを着てはいけない場合、長袖のシャツを腕まくりすることはマナー違反でしょうか。
今回は、腕まくりの基本的なマナーと上手に腕まくりをする方法についてお話したいと思います。
シャツの腕まくり、袖まくりの基本
腕まくりとは、シャツなどの衣服の袖を折り返したり、巻き上げたり、手繰り上げることで前腕を露出する行為のことです。
腕まくりをするのは、袖が汚れたり濡れたりしないようにするため、または暑さを凌ぐために行いますが、力仕事などをする際に意気込みのあらわれとして行う人もいます。
ちなみに、腕まくりと袖まくりは同じ意味で使われます。
ネルシャツなどプライベートで着るカジュアルなシャツであれば、腕まくりをしても全く問題ありません。スタイリッシュな腕まくりの方法もいくつもあります。
一方、ワイシャツ(ドレスシャツ)は、仕事の最中に腕まくりをするとだらしなくなるので、一部のシーン以外は基本的にはしない方が良いでしょう。
ドレスシャツを腕まくりしてだらしなくなるのは、まくっていた袖を伸ばしたときです。生地を曲げたり巻いたりするため、シャツがしわしわになってしまいます。
スーツの着こなしの基本は、「きれいなシルエットを作ること」「シワを作らないこと」です。そのため、ドレスシャツにシワができることも立ち居振る舞いのマナーに反します。
ただ、「ワイシャツの腕まくりをしている姿が男らしくて素敵!」という女性が少なくないことも事実……。もし、女性に腕まくりをした男らしい姿を見せたい場合は、腕まくりをしても良い一部のシーンに限定してください。
腕まくりをして良いシーン・悪いシーン
マナーとは礼儀や作法のことで、特定のコミュニティの中で社会生活を営むうえで、お互いが不快に思わないように決められた習慣や暗黙の了解、他者を気遣う気持ちを表したものです。
そのため、乱暴な言い方をすると、腕まくりをすること・したことを他人に知られなければ良いわけです。
ビジネスシーンにおける他人は、「自社内の他人」と「自社以外の他人」の2つに分かれますが、腕まくりをしない方が良いのは「自社以外の他人」といっしょにいる場合、またはこれから「自社以外の他人」と会う可能性がある場合です。
では、「自社内の他人」といっしょにいる場合は、無条件で腕まくりをしても良いかというとそうではありません。腕まくりをして許されるのは、
- 作業において袖が汚れたり濡れる可能性がある場合
- アフター5でドレスコードがない食事の場など
- もう仕事終わりのため、他人の前で袖を伸ばさない場合
などが考えられます。あくまでも「マナー>おしゃれ」が前提です。着崩しがかっこよく見えることもありますが、ビジネスシーンでは人がいることを意識して、装いで信頼を得られる努力をしましょう。
シャツの腕まくりの方法
シャツの腕まくりをして良いシーンでの腕まくりとして、以下3つの方法があります。ただ、より女性ウケを求めるなら、腕まくりの方法論だけでなく、健康的な日焼け、スベスベ肌、筋肉にもこだわった方が良いです、本来は。
方法1.二つ折り、三つ折り、四つ折り
二つ折り、三つ折り、四つ折りは、腕まくりのもっとも基本的な方法で、二回まくり、三回まくりなど呼び方は様々です。何回袖を折ると自分に似合うか試してみてください。
- カフ幅で袖を1回折る
- 二つ折りはもう1回、三つ折りは2回、四つ折りは3回折る
方法2.マスターロール
マスターロールは、袖口の色がアクセントになるため、クレリックシャツを着ているとより効果的な腕まくりを楽しめます。
- 袖を折って、一気に肘の上まで捲り上げる
- 袖口が数センチ見えるように、もう一度袖を折る
方法3.ミラノまくり
ミラノまくりは、ミラノの男性がする腕まくりの方法だそうですが、わたしの記憶が確かなら、日本では2007-2008年ごろに流行りましたね。
- 袖を折って、一気に肘の上まで捲り上げる
- カフの手前まで袖を折る
- カフを折り返す
かっこ悪い腕まくりになる理由
女性ウケが良いはずの腕まくりが、なぜかかっこ悪くなってしまう……そんな人は以下の点をチェックしてみてください。
理由1.肘上まで袖をまくっている
袖が下がってくることを嫌って、肘の上まで袖をまくる人がいますが、肘が見えるとだらしない……と言うよりも部活帰りの中学生のように幼く見えてしまいます。
理由2.袖の折り幅が太すぎる
とくにシンプルな二つ折り、三つ折り、四つ折りをする場合に、袖の折り幅が太くなる人がいます。折り幅が太いと、今度は居酒屋にいるおじさんのように見えてしまいます。
理由3.シャツのサイズが合っていない
そのそもシャツのサイズが合っていなければ、腕まくりをしてもかっこよくはなりません。
たとえば、シャツは腕まくりをした袖口に隙間があるとかっこ悪い着こなしになります。必ず腕の太さに合うシャツを着て、なおかつ袖の折り返しを調整してください。
腕まくりとビジカジの相性
近年、「ビジカジ(ビジネスカジュアル)」という言葉がひとり歩きしているせいか、スーツをだらしなく着崩した人が増えている気がします。何となくスマートな見た目なら、ビジネスに相応しいカジュアルだという勘違いですね。
合わせて、腕まくりを「スーツスタイルの外しだ。」「抜け感が出る。」などと紹介する雑誌もありますが、いつでも腕まくりをして良いような印象を持ってはいけません。
前述した通り、腕まくりができるシーンは限られています。そのため、社内で許されているのであれば、腕まくりをするより、セパレートスタイルで半袖シャツを着た方がよっぽどスマートに見えるはずです。
基本的なビジカジのアイテムは、セパレートスタイルです。テーラードジャケットにセンタークリースが入ったスラックスを履けば、中は半袖シャツでも、ノーネクタイでも構いません(社内規定による)。
また、セパレートスタイルの方が腕まくりをしやすい雰囲気だといっても、どこかのタイミングで袖を戻さなければいけないことを忘れないでください。どれだけきれいに腕まくりをしても、シャツは必ずシワシワになります。
シャツがシワシワだと、ビジカジがどれだけスマートでも台無しです。とくに女性はシワが大嫌い。モテたい男性諸君は、かっこいいと思っていた腕まくりで失敗しないようにしましょう。