CATEGORY
May.23

セール時期・買い時はいつ?高コスパで失敗しないスーツの買い方

Written by伊藤進一郎

この記事を読むのに必要な時間は約 12 分です。

Please Share on

スーツの需要が高い時期は

「あー、もうそろそろ新しいスーツ買った方がいいかなぁ。」と思い始めるのは、新年度が始まる前や衣替えのころだと思います。時期で言うと、スーツの需要がもっとも高いのは3-4月と10-11月ごろです。

1着数万円するスーツは、一般的に安い買い物とは言えません。そこで、なるべくスーツをお得に買うために、セールを活用したいと思うのは当然のこと。そのため、スーツのセール時期を知っておくのは大切です。

ただ、「スーツ1着50%オフ」「2着で◯円」など、チラシの値段のセールスコピーだけに注目して、是が非でもセール時期にスーツを買わなければいけない気持ちになっていないでしょうか。

値段だけに注目してセールを活用している人は、たとえスーツを安く買えたとしても、損をしているかもしれません。スーツは単純に値段が安いよりも、値段を含めたコストパフォーマンスで考えなければいけません。

では、スーツをセールで買う際に損をしないための注意点・ポイントとはどのようなことでしょうか。そもそも、スーツのセール時期とはいつなのでしょうか。

今回は、スーツのセール時期はいつなのか、セールで失敗しないスーツの買い方についてお話したいと思います。

スーツのセール時期はいつ?

まず、アパレル業界のセールとは何なのか、知っている人ももう一度理解しておきましょう。

アパレル業界には、SS(Spring/Summer)という春夏物、AW(Autumn/Winter)という秋冬物の新作発表をする時期があります。

SSの新作は、早い場合は12月から春物が投入され始め、3月頃には夏物が揃っていきます。またAWの新作は、8月に秋物が投入され始め、11月には冬物が揃っていくというイメージです。

そして夏物のセールの多くは8-9月頃に行われ、冬物のセールは12-1月頃に行われます。つまりセールとは、夏物の在庫・冬物の在庫を整理するための安売りなわけです(まぁ誰でも知ってますね……)。

他のアパレルアイテムと同様、スーツのセールも夏物は8-9月頃、冬物は12-1月頃に行われます。スーツの場合は、とくに3-4月がもっとも需要が高まるため、そのまま2-3月と売りつくしセールに移行します。

アパレル業界のセールの変化

ところが、近年はこの流れが少し変わっています。と言っても夏物セール・冬物セールの看板も時期も変わってはいません。ただ、以前に比べるとシーズンセールの規模は小さくなり、その代わり年中セール品を見かけるようになりました。

その理由は、大手アパレル企業の多くがSPA業態に転換したことで小ロットの売り切りアイテムが増え、シーズン物の在庫数が減ったからです。同時に、一定期間で完売できなかった小ロットアイテムは時期関係なくセールが行われるようになりました。

参考|アパレル業界に必須なSPAとは?スーツ小売店とSPAの将来性

このような販売形態は、店頭販売ではなくネット通販の販売需要が拡大し、セール品が売りやすくなったことも理由に挙げられます。このことをよく理解している人は、いつお目当てのアイテムがセールに切り替わっても良いように頻繁にチェックしているはずです。

では、スーツのセールはどうかというと、他のアパレル業界の変化と同じように、以前よりも個別アイテムのシーズン途中のセール切り替えは増えています。

ただし、スーツは他のアパレル商品に比べて1着の単価が高く、販売数が多くありません。しかも、基本的に春夏スーツ・秋冬スーツという2パターンしかないうえに、需要が高い時期も決まっています。

参考|春夏スーツ・秋冬スーツ・オールシーズンスーツの違いと見分け方

そのため、SPA業態のスーツ取扱店でも比較的息の長いアイテムを取り扱うことになり、結果として今まで同様シーズンセールの規模は大きなままです。

セールでスーツを買う際の注意点

さて、前述したセールの特徴を踏まえたうえで、セールでスーツを購入する際の注意点を見ていきましょう。

注意点1.売れ筋・注目商品は残っていないかも

前述した通り、スーツのセールは比較的息の長い商品の在庫処分になります。

そのため、シーズン初めに登場した売れ筋商品や注目商品は完売してしまい、セール時期に良い商品が残っていない可能性があります。

注意点2.対応の煩雑さや不便さを感じるかも

シーズンセールの告知は大々的に行われるため、セール時期の店舗には普段よりも多くの人が訪れていることが考えられます。

もちろん店舗側もセール対応に人員を補充しますが、それでも足りない場合は意図せず接客対応が煩雑になってしまったり、試着室が混雑して利用に不便さを感じるかもしれません。

注意点3.購入判断を間違えるかも

セールは在庫処分のため、店舗側はなるべく売り切りたいと考えます。そして顧客側は、なるべく安い価格で良いスーツを買いたいと考えます。

両者の目的・思惑が合えばWin-Winですが、冒頭で話した通り「安いから!お得だから!」という理由でセールに来ると、「とにかく買わなければ損だ。」と思い込んでしまいます。

スーツを着るに当たってサイズが合うかどうかは大切なことの1つですが、いくら安くてもサイズが合わないスーツは着なくなったり、良い着こなしができず、購入した後に後悔することになります。

スーツでもっとも大切なのはコスパ?

以前紹介したオリコンの「紳士服専門店のランキング・比較」を見ると、一般的にスーツを買う人が何を重要視しているかがわかります(調査対象は過去3年以内にスーツ量販店で自分用のスーツや礼服を購入した全国18歳以上の男女3839名)。

  • 商品の質|22.02%
  • コストパフォーマンス|11.69%
  • 利用のしやすさ|11.1%
  • 商品の豊富さ|10.02%
  • 特典・キャンペーン|9.66%
  • 店員の接客力|7.97%
  • コーディネート力|7.49%
  • お直しサービス|7.15%
  • 店の雰囲気・清潔さ|5.34%
  • 商品の探しやすさ|5.19%
  • 試着室の使いやすさ|2.37%

参考|スーツ量販店のAOKI・青山・コナカ・はるやまの違いと比較

スーツ購入経験者がもっとも重視する要素は「商品の質(22.02%)」で、「コストパフォーマンス(11.69%)」が2番目です。コストパフォーマンスとは安さだけではなく、品質やサービスなどと価格を比較した満足度のことですね。

一方、セール時の価格は「特典・キャンペーン(9.66%)」にあたり、単純に安さだけを重視する人がそれほど多くないことがわかります。

ただ、わたしは個人的には選択肢の中にコストパフォーマンスを入れることには賛成しません。なぜならコストパフォーマンスとは、様々な要素と価格を比較して、最終的に商品を買う決め手になる指標だからです。

お金をいくら払っても良いから商品の質や店員の接客力、店の雰囲気などを求めるなら、ゼニア銀座ビルにでも行った方が良いと思います。

というわけで、スーツをお得に買えるかどうかは、やはり商品の質と価格を比較したコストパフォーマンスが高いかどうかを考えるのが妥当でしょう。

セールでスーツをお得に買う方法

では、どうすればセールのスーツをお得に買うことができるのでしょうか。いくつかのポイントを押さえておきましょう。

ポイント1.セールは宝探しだと認識する

繰り返しになりますが、セール品は在庫です。「とにかく安く買えることに満足感を覚える」という人以外は、在庫の中からコスパが高いスーツを見つけなければいけません。

そのため、セールに出向く際は宝探しをする気持ちで臨みましょう。妥協して簡単に宝が見つかるはずはありません。

ポイント2.自分にとっての宝の目星を付けておく

初めからセールの目的が明確であれば、その宝を手に入れるために早起きするなり、早く並ぶなりして確実に手に入れましょう。

まだ目的が明確でなければ、セールの少し前にショップに行き(もしくはサイトを訪問し)、セール対象になりそうなスーツなどの目星をつけて、セールに行く目的を明確にしましょう。目的なく宝探しに行く必要はありません。

ポイント3.行くのはセール初日+αのみ

基本的に、セールは初日だけ行くようにしましょう。セール開始1週間後でも稀にコスパの高い商品が残っていたり、日替わりの目玉商品を設けていることはありますが、競争率は高くなります。

スーツ取扱店に足を運ぶことが時間の無駄にならないようにしなければいけません。

ポイント4.大きな流行は押さえておく

スーツのセールでは、「これからシーズンオフになっても来年また着ることができる。」という意識で購入する人も多いでしょう。

ただしスーツにも流行のシルエットがあり、細かなディテールは毎年、大きなシルエット転換は10年に1度ほど訪れます。そして、実はここ2-3年が大きなシルエット転換です。

そのため、安易に来年また着ることができると考えずに、ディテールやシルエットがどのように変化しているかを知っておくと、先を見越した良い買い物ができるでしょう。

セールはネット通販の方が得?

さて、主にスーツのシーズンセールの注意点と賢い買い方についてお話しましたが、今の時代はわざわざ店舗に行くよりも普段からネットをチェックして、セール対象になったスーツを買う方が得だと考える人も多いですね。

たしかにネットを使えば、色々なブランドやショップのスーツを横断で見ることができ、よりお得な買い物ができるかもしれません。ただ、スーツを着慣れていない人がネットでスーツを買うことはかなりリスキーです。

何度も言いますが、スーツの着こなしでもっとも大切なことはサイズを合わせることです。カジュアルな服とは違い、スーツはサイズが合わないことをごまかす方法はありません。しかも同じサイズ表記でも、ブランド(メーカー)によって各部の大きさが異なります。

そのため、よほど慣れたブランド(メーカー)のスーツでない限り、身体に合わない可能性があります。

また、「スーツのセールって50%引きとか、2着目1000円とか値段が怪し過ぎ。どうせ不人気商品しかないんでしょ。」という人もいますが、販売側の立場で言うと、セールが不人気商品しかないということはほぼありません。

どのセールでも、「何でこれ売れなかったんだろ?もうすぐシーズンオフだしセールしかないか。」というスーツやジャケットは割とあります。近くにスーツ取扱店が複数店舗あるなら、ネットを見るよりもいくつか廻ってこのようなお宝をこまめに探すことをおすすめします。

Related Tags

Please Share on

facebook

Be a man dressing to suit.